広報誌「コープみらい」2025年1月号

コープみらいの広報誌「コープみらい」をご紹介します。生活協同組合コープみらい


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エピソード51一日一日を大切にコープデリグループの組合員数は約540万人。組合員の皆さんの数だけ、物語がある。その物語を毎月一つお届けしていきます。描いているのは皆さんのくらしとコープデリの接点。あなたの物語はどんな物語ですか。illustration:MaikoDake「小学生のとき、新潟県中越地震で祖母や親戚が被災したんです。現地でボランティアの人たちが復興のために頑張っている姿を見て、いつか自分も困っている人の力になりたいと思っていました」と話すのは、コープみらいの職員、佐々木さんだ。佐々木さんは2024年4月から石川県の生協であるコープいしかわに出向し、配達担当として働いている。コープデリグループでは元日の地震で被災したコープいしかわを支援するため、職員の中から3人の出向者を募集。佐々木さんはそれに手を挙げ、20年前の願いを実現したのだ。コープみらいでは都心部で営業を担当していた佐々木さんにとって、能登での配達は戸惑うことばかり。「配達先一軒一軒が離れているし、山を越えたり海沿いを走るのは初めてで。走行距離が長いのと、配達コースや手順を覚えるのに苦労しました」とはいえ、営業歴が長く、人とコミュニケーションをとるのが好きな佐々木さん。一人ひとりに困り事を聞くところから始め、今ではすっかりなじんで組合員の皆さんとの会話を楽しんでいる。「わざわざ遠くからありがとう」と言ってくれる人もいる。都会では経験したことのないふれあいも新鮮だ。「庭先で野菜を育てている方が多くて、『スーパーで買うと高いでしょ』と野菜をいただくことが結構あって。こんなことあるんだ!と感動しました」現地で配達をするようになると、被害がないように見えても中の損傷がひどくて住めない家がたくさんあることを知った。隣近所の人がみんな仮設住宅などに移ってしまったと嘆く組合員からは、「今は週に一度の宅配で交わす会話が楽しみ」と言われ、少しは役に立っているのかもしれないと思えた。仮設住宅での配達では、近くにスーパーがないため宅配の提案に力を入れている。「最初は利用しないと言っていた方が、僕が配達している様子を見て加入され、今は『入って良かった』と毎週注文してくださる。うれしいです」と佐々木さんは話す。………§………9月の週末、震災に追い打ちをかけるように豪雨が起きた。暗い気持ちで土日を過ごし、迎えた月曜日の朝礼。配達チームのリーダーが言ったのは「みんなで協力して、今できることを一つ一つやっていこう」という言葉だった。「ネガティブなことを口にする人は誰一人いませんでした。その姿勢に逆に僕自身が励まされ、頑張ろうと思いました」と振り返る。前日通れた道がちょっとした雨で通行止めになることもあり、日々気が抜けない。つらい話を聞くこともあるが、「僕が落ち込んでいたら組合員さんを勇気づけることはできない」と、元気な姿を見せるよう心がけている。能登に来て、一日一日を大切にしたいと思うようになったという佐々木さん。仕事終わりや休日は、趣味の筋トレや料理でリフレッシュ。週に一度は、コープいしかわの職員や地域の方と一緒にスポーツで汗を流している。出向仲間2人と食事する時間もささやかな楽しみだ。「出向期間は1年間、長い人生を考えれば短い時間。最後まで全力を注ぎたい」と話す佐々木さん。石川の地で、一日一日を大切に過ごしている。コープデリグループでは、能登半島地震・豪雨災害への募金を受け付けています。詳しくは、表紙の二次元コードからホームページをご覧ください。過去の物語もこちらから読めますあなたのエピソードをお寄せください。コープ職員との心に残る出来事を随時募集しています。氏名・電話番号・組合員コードを記入し、郵便(〒336-8526埼玉県さいたま市南区根岸1-4-13コープデリ連合会コミュニケーション推進部宛)か、左記のWeb応募フォームよりお送りください。♦実際にあったコープに関わる人と人との交流を取材し、読み物の形にまとめています。登場する人物の名前は仮名の場合があります。イラストはイメージです。09


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