沖縄県伊平屋島産のもずくは、するっとしたのどごしが暑い季節にぴったりの商品。フェリーでしかたどり着けない沖縄県の最北端の離島・伊平屋島の伊平屋村漁協で生産し、鳥取県境港市にある株式会社海産物のきむらやで加工しています。
もずくの生産者新里(しんざと)斉士(よしと)さんと、海産物のきむらや工場長・大坂強(つよし)さんに話を聞きました。
「伊平屋島周辺の海は潮流があり、波にもまれて太くコシがある『太もずく』が育ちます。もずくはそれぞれの枝にヌメリを持ちます。海底は白い砂地が多く、太陽の光が反射して光合成をして枝が多い良質なもずくが育つんですよ」と大坂さん。
毎年、9月からもずくの種(胞子)を瓶で培養し、水槽で網に種を付着させるところから生産は始まります。11月になると、種が付着した網を5枚セットで海中の苗床にぴっちりと張り付けていきます。太陽の光をたくさん浴びないと芽が出ないため苗床は浅瀬です。
「海の水温・日照時間によって、芽が出ない網もあります。それを見越して、収穫したい量よりも多くの網を海底に張ります。作業はすべて海の中。水中は浮力がありますが、網を移動したり張ったりするのは重労働なんですよ」と新里さん。
40~45日後、1月頃に1~2cmの芽が出たら、浅瀬の苗床から移動させ、深さがあるところで本張りをします。このときは網を1枚ずつ海底から浮かせて、砂浜(下)からも光が届くようにします。海中で65日前後育てたら収穫です。
「収穫時は2~3時間、船には上がらず海に潜り続けることもあります。鮮度の良いうちにもずくを漁協の加工場へ搬入しています」と新里さんは話してくれました。
収穫したもずくは冷凍状態で海産物のきむらやへ届きます。
「もずくのヌメリは均一ではありません。ヌメリが少ないとパサパサとした食感になるので、加工前に各ロットのもずく原料を調べヌメリの度合いをチェック。商品になったとき品質が一定になるように調整して加工しています」と大坂さん。
「以前コープのフェスタ(イベント)で、ある組合員さんが『うちの子どもにもずくを食べさせたいけど、すっぱい味が嫌いで......』とおっしゃっていたので、『味付もずくをそのまま1合のご飯に入れて混ぜてちらしずしにするのがおすすめです』とお伝えしたんです。そうしたら翌年のフェスタで、同じ方が『味付もずくでちらしずしを作ったら子どもが食べてくれた!』と販売ブースに報告に来てくださったことがあり、本当にうれしかったです。長年、多くの組合員の皆さんに支持していただいている実感はあります。伊平屋の海でさんさんと輝く太陽の日差しと、生産者の愛情をたっぷり注いで育てた太もずくをお届けします」と大坂さん。
ぜひ一度お召し上がりください。
もずくの収穫の様子
もずくの収穫はバキュームでの吸引。ホースが付いた機械で、海中に潜って収穫します。収穫後は加工場へ。人の手で目に見える異物を取り除いた後、塩蔵・冷凍します。
「異物混入がないように、船内を整理整頓し仕事しています。誰が食べてもおいしいと思ってもらえるもずく生産を目指しています!」と新里さん
もずくの加工の様子
冷凍状態で届いた原料を解凍したら、洗浄しほぐしながら塩分を落とします。そして人の手で異物検査をし(写真A)、細かな海の生き物を取り除きます。次に加熱脱塩し(B)、冷却洗浄後に塩分が既定の0.5%以下に下がったかを確認。計量してもずくを自社配合のもずく調味液(C)と混ぜながら合わせ、しっかり冷やしてから充填(じゅうてん)前に再び混ぜてパック詰め(D)します。包装後は、金属検査・重量検査・製品検査などの検査を経て品温が上がらないように出荷します
もずくの加工の様子
冷凍状態で届いた原料を解凍したら、洗浄しほぐしながら塩分を落とします。そして人の手で異物検査をし(写真A)、細かな海の生き物を取り除きます。
次に加熱脱塩し(B)、冷却洗浄後に塩分が既定の0.5%以下に下がったかを確認。計量してもずくを自社配合のもずく調味液(C)と混ぜながら合わせ、しっかり冷やしてから充填(じゅうてん)前に再び混ぜてパック詰め(D)します。包装後は、金属検査・重量検査・製品検査などの検査を経て品温が上がらないように出荷します
伊平屋島の浜辺には、大量の海洋プラスチックごみが打ち上げられます。伊平屋島がこの先もずっと美しい島であるようにと願いを込めて、コープデリグループは2010年より伊平屋島産のもずく商品の売り上げの一部を美ら島応援基金に寄付、自然環境保護活動に活用されています。2020年度寄付額は117万3,190円(累計寄付額は1,435万7,975円)。
「それまでは島のボランティアの人でビーチクリーン(海岸清掃活動)を行っていましたが、基金のおかげで今では不定期ですが清掃業者に委託し、海岸をきれいにできています」(大坂さん)
伊平屋島には産業廃棄物を処理する施設がないため、拾い集めたプラスチックごみは、まとめて沖縄本島へ運び適切に処理しています。
「もずくの生産はきれいな海があってこそだと思います。プロジェクトのおかげで漂着ごみの回収が進んで、いつも気持ちのいいビーチです!」(新里さん)
【広報誌2021年8月号より】